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個人開発 — 2026.06.15

英語は読めるのに聞き取れない。AIなら教材は無限だと気づいて、リスニングアプリを出した話

2026.06.15 ·クオ ·約5分で読めます
英語は読めるのに聞き取れない。AIなら教材は無限だと気づいて、リスニングアプリを出した話

はじめに

AIを使って開発してると、嫌でも分かる。大事な情報は、英語に偏ってる。 最新の発表もトークも、英語オンリーのものが多い。日本語の情報には、どうしても限度がある。

俺は英語を勉強してきたし、読むのは問題ない。でも——聞き取れない。 読めば分かる英語が、耳だと素通りする。中学レベルの英文ですら、音になると掴めない。

この「読めるのに聞こえない」をどうにかしたくて、聞き取りの鍛え方を調べ始めた。


第1章:「教材、無限に作れるじゃん」

聞き取り力の上げ方を調べて、動画をいくつも見た。やり方は分かった。あとは量をこなすだけだ。ただ、自分のレベルに合った英文を聞きたいだけ用意するとなると、既存の教材は有限だ。

そこで気づいた。AIを使えば、教材は無限に作れる。 中学レベルの短い英文でも、好きなシーンでも、いくらでも生成できる。聞き取り練習に要るのは、自分に合った例文の山だ。それをAIがいくらでも吐く。

これが始まりだった。


第2章:自分用に、iPhoneアプリとして作る

方針はすぐ決めた。教材はAIに作らせる。 そして、どうせ自分用に作るんだから——最近買った MacBook を使って、いっそ iPhone アプリとしてリリースしてみよう、と。

作るものは「聞けること」特化。中学レベルから積み上げる。学習の流れはこうだ。

  1. まず音だけ聞く(文字は出さない。耳で受け止める)
  2. 英文と和訳で答え合わせ
  3. 字幕つきでもう一度(読み上げに合わせて単語が光るカラオケ表示)

これを繰り返して、「なんとなく聞こえる音」を「意味のわかる音」に変えていく。


第3章:ターゲットが、変わった

最初のターゲットは、自分と同じ層——AIを使ってる開発者だった。英語の情報に届きたいのに聞き取れない、という同じ悩みを持ってる人たち。

この層を前提にすると、設計はこうなる。みんな手元に Claude や Codex を持ってるんだから、教材は各自のAIに作らせればいい。運営(俺)はコンテンツを持たず、生成も配信もユーザー側に寄せる。

ところが、作りながらターゲットを考え直した。中学英語から積む内容なら、若い学生にこそフィットする。 聞き取りに困ってるのは開発者だけじゃない。むしろ学生の方が本丸だ。

学生を対象に入れた瞬間、さっきの前提が要らなくなる。学生は、自分のAIなんて持ってない。 「使う人が手元のAIで教材を作る」前提は、ここで外れた。


第4章:形が決まった

前提が外れたら、答えは単純だった。運営(俺)が自分のAIで教材を作って、配ればいい。 使う人は何も契約せず、アプリを入れるだけ。

ただ、運営が配るとなると、配信は全部こっちの回線に乗る。ユーザーのAIに作らせてた時は、教材データは各自の側で完結してた。運営配信に切り替えれば、その配信が自宅サーバーに集まる。そこで、配信の仕組みを Cloudflare のキャッシュで組んだ。

配るのは短いテキストの例文だけだ(音声は端末側で作るので、サーバーは文を渡すだけでいい)。これを Cloudflare 越しに返せば、一度返したデータはエッジ(世界中に分散したサーバー)にコピーされ、次からはそこから返る。自宅サーバーには初回くらいしか問い合わせが来ない。

Cloudflare は JSON を標準ではキャッシュしないので、Cache-Control ヘッダだけ自分で付けた。それで同じ学年へのアクセスはほとんどキャッシュで済んで、貧弱な個人サーバーでも捌ける。

そうして出荷した形がこれだ。

名前は Kikoeru(聞こえる)。「聞こえる音が、聞き取れる音になる」——最初に自分が欲しかったもの、そのままだ。


第5章:「勉強」にはしたくなかった

作るとき一番気をつけたのは、「勉強」だと感じさせないことだ。リスニングは机に向かって覚えるものというより、耳を慣らすものだと思ってる。だから、その感覚に寄せる演出に少し力を入れた。

聞き取りに効くとされる考え方を、アプリの中の声がけとして挿入した。たとえばこんな調子だ。

全部の音を拾おうと気負うと、続かない。聞き取れなかった音は流していい。そう声をかけて、肩の力を抜いて量をこなせるようにした。


第6章:作るより、出すほうがややこしかった

実は、アプリを作る部分より、App Store に出す部分のほうが大変だった。個人で出すとなると、契約や税の書類、規約の出し方、審査のルールまで、とにかく込み入ってる。普段コードを書くのとは別種の、事務と手続きの山だ。

ここは、全部 Claude に聞きながら進めた。何が必要で、どの順でやって、どこで何を直すのか。分からない所をその都度聞いて、その場でたどれた。

正直、Claude がいなかったら、ここで挫折してたと思う。


おわりに

英語が読めても聞き取れなかった俺が、聞き取りに特化したアプリを App Store に出した。きっかけは「AIなら教材が無限に作れる」の一点だった。

ターゲットを学生まで広げたぶん、「各自のAIで自由に教材を作る」案は今は入れていない。将来、使いたい人だけが選べる形で戻すかもしれない。

# 個人開発# Claude Code# AIコーディング# iOSアプリ# 英語学習